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クラブ売却に進展か…メキシコ人投資家がニューカッスルを復活へと導く?

更新日:2020年1月9日


 ここ数年に渡り幾度となく噂されながらも一向に進展しない、マイク・アシュリーによるクラブ売却。昨シーズンにはマンチェスター・シティのオーナー親族との交渉が一定の段階まで進んでいたようだが、最終的に決裂し実現には至らなかった。


 そんな状況下で迎えた今年のオフシーズンは、ホッフェンハイムからFWジョエリントンをクラブ史上最高額の移籍金で獲得したほか、FWアラン・サン=マクシマンをニースから引き抜くなど、マイク・アシュリー政権下では異例のビッグサマーとなった。プレシーズンが開幕しても決まらなかったラファ・ベニテスの後釜問題も、スティーブ・ブルース監督が就任したことで一件落着。開幕直後は苦しんだものの、現在2連勝で13位まで浮上するなど、オフシーズンのドタバタ劇から考えれば上々のスタートを切ったと言っていいだろう。



 しかし、ニューカッスルを売却したいというオーナーの考えは変わらないようだ。11月に入り、再びテイクオーバーに関する報道が過熱し始めたのである。


 新たに買い手として名前が挙がっているのは、メキシコの投資家アレハンドロ・イララゴッリ氏が率いるオルレギ・グループ(Orlegi Group)だ。


 グループは2013年にメキシコのクラブであるサントス・ラグーナを買収するために設立された。代表のイララゴッリ氏はそれ以前から同クラブの経営に参画しており、これまでの12年間で4つのリーグタイトルと1つの国内カップを制して、2008年には新スタジアムも建設している。




 サントスの他に、アトラスFCとタンピコ・マデロと国内で3つのチームを所有する同氏が、ヨーロッパへの進出を望んでいることは周知の事実。国内で成功しているモデルをメキシコ国外でも活用してビジネスの幅を広げるとともに、メキシコ・サッカー界の世界的地位向上も目指しているようだ。


 実はオルレギ・グループは、今年の1月ごろニューカッスルとすでに交渉を行っていた。当時は報道でもその正体が明かされていなかったが、イララゴッリ氏は継続的にプレミアリーグ参入を検討しており、クリスタル・パレスとも話し合いの場を設けていたようだ。しかし彼らのファーストチョイスはマグパイズであり、10月に行われたマイク・アシュリーとの会談が実に3度目の交渉だったことが明らかとなっている。


「今、僕らのチャレンジはメキシコで成功したこのモデルをどこかで再現することだと考えている。このグローバルな世界で、複数のチームを所有する戦略を成功させることに、今はエネルギーを注いでいるんだよ」


 1つの経営母体で複数チームをマネジメントしている代表例が、レッドブル・グループだ。日本代表MF南野拓実が所属するザルツブルグを始め、RBライプツィヒやニューヨーク・レッドブルズなど各国にチームを持っており、リヴァプールで活躍するFWサディオ・マネやMFナビ・ケイタもレッドブル・グループが育てた逸材である。




 ヨーロッパでの実績こそないが、オルレギ・グループがこれに近いビジネスモデルをメキシコ国内で成功させていることは、他の候補者と比べても優っているポイントだろう。


 ニューカッスルは、経営権がアシュリーの手に渡ってから2度のチャンピオンシップ降格を喫し、ヨーロッパカップ戦への出場はわずか1度と、リーグ内での序列はこの10年で大きく下がっている。選手補強は消極的で、トレーニング施設は古いまま、監督の人選もクラブのフィロソフィーなどそっちのけなのだから、当然の結果だろう。


 しっかりとデザインされたフットボールを展開できるマネジャーを連れてくること。そしてその指揮官が望む選手補強をすること。総資産世界TOP20に名を連ねるクラブなら、不可能ではないはずだ。古豪復活の最後のピース、それは継続的な成長意欲を持った新しい経営者の存在に他ならない。




17-18シーズンにもサントスをリーグタイトルへ導いているイララゴッリ氏は、こう語っている。


「フットボールでは、成功は新たなチャレンジの始まりに過ぎない。つまり、僕らは今の仕事に集中しているんだ」


「獲得したチャンピオンシップに興味はない。僕らはそのプロセス、そして継続的な成長に関心を持っている」


 今年行われた2度の交渉は失敗に終わったにも関わらず、ニューカッスルに再びアプローチをかけているイララゴッリ氏。彼がジョーディの心を掴む存在になる、少なくともそのポテンシャルを持った人物であるのは間違いない。メキシコから来た48歳のビジネスマンに、これまで数多くのオファーを断ってきたアシュリーは首を縦に振るのだろうか?サポーターの一人として、今度こそ、進展を望むばかりである。

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